長期優良住宅にすると補助金や減税が増える一方で、申請の手間や、入居後の点検の義務が気になる人も多いはずです。
このページでは、国土交通省・国税庁・住宅金融支援機構の資料をもとに、優遇の合計を借入4,000万円のモデルで試算し、ZEH水準住宅・省エネ基準適合住宅と比べます。申請の流れと手数料、30年以上続く維持保全の義務も、法律と告示の条文で確認しました。
借入4,000万円・金利1%・35年のモデルでは、長期優良住宅にすると補助金と減税の合計が省エネ基準適合住宅より一般世帯で約143.1万円、子育て世帯等で約131.7万円多くなります。ZEH水準住宅との差は一般世帯で約32.0万円、子育て世帯等で約99.8万円です(子育て世帯等はみらいエコ住宅2026事業の75万円を含みます)。
デメリットは、着工前に認定を受ける必要があり手数料(堺市の新築一戸建てで13,000円から)と評価機関・設計側の費用がかかること、30年以上にわたり10年以内ごとの点検と記録の保存が義務になること、仕様の追加費用がかかる場合があることです。優遇の差額が、申請費用と追加費用の合計を上回るかで判断します。
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自分の条件で、総額・補助金・住宅ローン控除を計算できます。 使えるツール: 総額シミュレーター、補助金診断、都道府県別の相場。
長期優良住宅の認定基準
長期優良住宅は、長く良い状態で住み続けるための措置を講じた住宅として、所管行政庁(都道府県・市・区)の認定を受けた住宅です。建築と維持保全の計画を作り、着工前に申請します。新築の一戸建ての主な基準は、国土交通省告示第209号と法律の施行規則に書かれています。
| 項目 | 新築の一戸建ての主な基準 |
|---|---|
| 劣化対策 | 劣化対策等級3。木造は床下・小屋裏の点検口と、床下の有効高さ330mm以上も |
| 耐震性 | 耐震等級2以上(確かめ方によっては等級3) |
| 維持管理 | 維持管理対策等級3(配管の点検・清掃のしやすさ) |
| 省エネルギー性 | 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上 |
| 規模 | 床面積75㎡以上、1つの階が40㎡以上(所管行政庁が55㎡を下限に別に定める場合あり) |
| 維持保全計画 | 期間30年以上、点検は10年以内ごと |
省エネの基準はZEH水準と同じです。つまり一戸建ての長期優良住宅は、ZEH水準の省エネ性能に、耐震・劣化対策・維持管理のしやすさと30年以上の維持保全計画を加えたものです。国土交通省の集計では、令和7年度に新築で認定された一戸建ては155,838戸でした。
長期優良住宅で受けられる補助金・減税・ローンの優遇
2026年に建てる注文住宅で、性能の区分ごとに使える制度を並べました(2026年10月10日に国の公式ページで確認)。
| 制度 | 長期優良住宅 | ZEH水準住宅 | 省エネ基準適合住宅 |
|---|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業 | 80万円(1〜4地域)・75万円(5〜8地域)。子育て世帯・若者夫婦世帯のみ | 40万円・35万円(予約申請は2026年8月17日で終了) | 対象外 |
| 住宅ローン控除の借入限度額(2026・27年入居) | 4,500万円(子育て世帯等5,000万円) | 3,500万円(同4,500万円) | 2,000万円(同3,000万円) |
| 固定資産税の2分の1減額 | 5年間 | 3年間 | 3年間 |
| 登録免許税(保存登記) | 0.1% | 0.15% | 0.15% |
| 不動産取得税の控除額 | 1,300万円 | 1,200万円 | 1,200万円 |
| 贈与税の非課税枠 | 1,000万円 | 1,000万円 | 500万円(耐震等級2以上などなら1,000万円) |
| 【フラット35】の金利引下げ | 当初5年間 年0.75%(S金利Aプラン+維持保全型) | 当初5年間 年0.5%(S金利Aプラン) | 省エネ性能ではSの対象外 |
ZEH水準住宅との差が「長期優良住宅だけの上乗せ」です。一般世帯ではローン控除の限度額が1,000万円高く、固定資産税の減額が2年長く、登録免許税が0.05%低く、不動産取得税の控除が100万円多くなります。子育て世帯・若者夫婦世帯は、これにみらいエコ住宅2026事業の補助が加わります。このほか、借入期間を最長50年にできる【フラット50】と、住宅ローン控除の代わりに選べる投資型減税も長期優良住宅の対象です。制度ごとの条件はみらいエコ住宅2026事業・住宅ローン控除【2026年入居】・固定資産税の減額、区分の違いは性能区分の比較表で確認できます。
国土交通省の案内では、固定資産税は認定通知書を添えて新築の翌年1月31日までに市区町村へ申告します。登録免許税は登記のときに住宅用家屋証明書を添付し、不動産取得税は都道府県の条例に沿って申告、住宅ローン控除は初年度の確定申告で認定通知書の写しなどを出します。
補助金と減税の合計を試算(借入4,000万円・金利1%・35年)
フラット35利用者調査(2025年度)の融資額の平均は、土地付注文住宅で4,379.0万円、注文住宅(建物のみ)で3,247.9万円です。その間の4,000万円を借りる場合で比べます。前提は次のとおりです。
- 借入4,000万円・金利1%(全期間)・35年・元利均等返済。毎月の返済は112,914円
- 2027年3月31日までに完成して入居する(登録免許税の軽減は同日までの新築、不動産取得税の税率3%は同日までの取得が対象。登記は新築後1年以内)
- 住宅ローン控除は所得税と住民税(上限9.75万円)から全額引ける
- 建物の固定資産税評価額を仮に1,500万円とし、5年間同じ額で計算。登録免許税・不動産取得税の課税標準も同額
- 床面積は120㎡以下(利用者調査の注文住宅の平均は118.4㎡)。みらいエコは5〜8地域の額
住宅ローン控除の13年分
控除額は「年末残高(借入限度額が上限)×0.7%」の13年分の合計です(各年100円未満は切り捨て。国税庁)。年末残高は1年目が約3,904万円、5年目が約3,511万円、13年目が約2,675万円です。
| 区分 | 一般世帯 1年目 | 一般世帯 13年合計 | 子育て世帯等 13年合計 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅 | 27.3万円 | 約300.3万円 | 約300.3万円 |
| ZEH水準住宅 | 24.5万円 | 約293.0万円 | 約300.3万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 14.0万円 | 182.0万円 | 約268.4万円 |
一般世帯のZEH水準住宅は、残高が限度額3,500万円を超える最初の5年だけ頭打ちになり、差は約7.3万円です。子育て世帯等はZEH水準住宅の限度額4,500万円が借入額を上回るので、差は0円です。
補助金・減税の合計と差
| 項目 | 長期優良住宅 | ZEH水準住宅 | 省エネ基準適合住宅 |
|---|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業(子育て世帯等) | 75万円 | 0円(予約申請は終了) | 0円 |
| 住宅ローン控除(一般/子育て世帯等) | 約300.3万円/約300.3万円 | 約293.0万円/約300.3万円 | 182.0万円/約268.4万円 |
| 固定資産税の減額 | 52.5万円(5年) | 31.5万円(3年) | 31.5万円(3年) |
| 登録免許税+不動産取得税の税額 | 7.5万円 | 11.25万円 | 11.25万円 |
| 長期優良住宅との差(一般世帯) | ― | 約32.0万円 | 約143.1万円 |
| 長期優良住宅との差(子育て世帯等) | ― | 約99.8万円 | 約131.7万円 |
長期優良住宅の補助金・ローン控除・固定資産税の減額の合計は、一般世帯で約352.8万円、子育て世帯等で約427.8万円です。計算式は、固定資産税が「1,500万円×標準税率1.4%=年21万円」の半分の10.5万円×減額年数。登録免許税は1,500万円×0.1%=1.5万円(一般は0.15%で2.25万円)。不動産取得税は(1,500万円−1,300万円)×3%=6万円(一般は1,200万円控除で9万円)です。1〜4地域ならみらいエコが80万円になり、子育て世帯等の差は5万円広がります。固定資産税の差(2年分の減額)は評価額×1.4%なので、評価額が高いほど大きくなります。
参考として、国土交通省はモデルケース(夫婦・子1人、世帯主年収850万円、借入4,300万円、建物の評価額2,880万円)で、住宅ローン減税326万円、登録免許税・不動産取得税・固定資産税の特例で91万円の軽減と試算しています。
ローン控除はその年の所得税と住民税(上限9.75万円)の範囲でしか引けないため、年収によっては表より小さくなります。自分の条件はローン控除シミュレーター、補助金は補助金診断で確認できます。
差額が出るかは、会社の標準仕様と申請費用しだいです。タウンライフ家づくりは、希望条件に「長期優良住宅の認定を取りたい」と書いて依頼すると、選んだ会社から間取りプラン・資金計画・土地提案が無料で届きます。依頼後に各社から連絡が来るので、依頼先は3〜5社に絞るのが現実的です。
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フラット35Sを使う場合の金利引下げの試算
全期間固定の【フラット35】を使う場合は金利が違うので、上の試算とは別に示します。金利引下げはポイント制で、1ポイントあたり当初5年間 年0.25%です。長期優良住宅はS金利Aプラン(2ポイント)と維持保全型(1ポイント)で計3ポイントになります。
前提は借入4,000万円・35年・元利均等返済、金利は2026年10月の【フラット35】(21〜35年、融資率9割以下)の最頻金利 年3.83%。住宅金融支援機構の試算例と同じく、6年目に残高から返済額を計算し直しています。
| 区分 | 当初5年の金利 | 当初5年の毎月返済 | 6年目以降の毎月返済 | 35年の総返済額 |
|---|---|---|---|---|
| 省エネ基準適合住宅(0ポイント) | 年3.83% | 173,054円 | 173,054円 | 約7,268.3万円 |
| ZEH水準住宅(2ポイント) | 年3.33% | 161,401円 | 171,702円 | 約7,149.7万円 |
| 長期優良住宅(3ポイント) | 年3.08% | 155,732円 | 170,991円 | 約7,090.1万円 |
長期優良住宅の総返済額は、省エネ基準適合住宅より約178.2万円、ZEH水準住宅より約59.6万円少なくなります。子育てプラス(若者夫婦世帯か子1人で1ポイント、子2人で2ポイント)は住宅の区分と別に加わり、当初5年間は4ポイント(年1.0%)が上限、超えた分は6年目以降に繰り越されます。【フラット35】Sには予算枠があり、達する見込みになると受付が終わります。概要は【フラット35】Sのページへ。
デメリット1: 着工前の申請と手数料・審査期間
国土交通省のページには、認定を受けたい建築主は着工前に所管行政庁に申請する必要があると書かれています。工事が始まると申請できないため、設計の段階で認定を取るかを決めます。流れは次のとおりです(堺市の案内をもとに整理)。
- 登録住宅性能評価機関の審査を受ける
設計図書と維持保全計画を出し、基準に合えば確認書または住宅性能評価書が交付されます。
- 所管行政庁に申請し、認定通知書を受け取ってから着工する
認定通知書は補助金と減税の手続きで何度も使うので、原本を保管します。
- 完成後に工事完了を報告し、減税の手続きをする
堺市は新築の場合に工事完了報告書の提出を求めています。
所管行政庁の手数料は自治体ごとに決まっています。例として堺市の新築の一戸建ての場合です。
| 堺市(新築の一戸建て) | 評価機関の確認書などあり | 確認書などなし |
|---|---|---|
| 認定申請の手数料 | 13,000円 | 73,600円 |
| 標準処理期間 | 7日 | 21日 |
| 変更認定の手数料 | 1,900円 | 12,700円 |
このほか、評価機関の審査料と、設計者・施工会社の書類作成や申請代行の費用がかかることがあります。金額は機関・会社ごとに違うので、料金表と見積書で確認してください。
- 設計変更にも手続きが要る: 認定後の設計変更は、軽微な変更を除き変更の認定を受けます。
- 認定されない区域がある: 自然災害への配慮が基準にあり、たとえば堺市は土砂災害特別警戒区域などでは原則として認定しないとしています。
- 補助金の期限と重なる: みらいエコ住宅2026事業は予約申請が2026年11月16日まで、交付申請が12月31日までで、予算に達すると終わります。認定の審査を含めた工程が間に合うかを登録事業者に確認してください。
デメリット2: 30年以上の点検と記録の保存の義務
長期優良住宅は、入居後の維持保全まで含めて認定される制度です。長期優良住宅法と告示第209号で、次のことが決まっています。
- 維持保全の期間は30年以上(法第6条)。点検・修繕の資金計画も認定の対象です。
- 点検は完成または直近の点検・修繕から10年を超えない間隔で行い、地震・台風のときは臨時点検をします。結果に応じて修繕します(告示第209号)。
- 建築と維持保全の記録を作って保存します(法第11条)。電子データでもかまいません。
| 保存する記録 | 書類の例(国土交通省の資料) |
|---|---|
| 認定を受けた計画と通知 | 長期優良住宅建築等計画、認定通知書 |
| 設計の内容 | 設計図書など |
| 行った維持保全 | 点検・修繕の年月日と内容、委託先(契約書・実施報告書など) |
| 変更・承継・行政対応 | 変更認定や承継の通知書、報告した内容、受けた指導の通知 |
所管行政庁は維持保全の状況の報告を求めることができ(法第12条)、報告しない場合や虚偽の報告は30万円以下の罰金の対象です(法第21条)。たとえば堺市は、築後5・10・20・30年の認定住宅から一定の割合を選んで報告を依頼しています。計画どおりでないと改善を求められ、従わないと認定が取り消されることがあり、認定を条件とする補助金や税の優遇の返還を求められることがあります(国土交通省の案内)。
- リフォーム・増築: 工事の前に変更の認定を受けます。
- 設備の交換: 給湯器・エアコン・照明などは認定時と同等以上の性能のものに替え、交換の内容を記録します(この場合は手続き不要)。
- 売却・相続: 引き継ぐ人が所管行政庁の承認を受けると、認定を引き継げます。
点検や修繕の費用は所有者の負担です。施工会社の定期点検の無償の範囲と、記録を誰が保管するかを契約前に確認しておくと、負担が見えやすくなります。
長期優良住宅にするかを決める比べ方
判断の軸は、優遇の差額が、申請費用と仕様の追加費用の合計を上回るかです。このページのモデルでの差額は、一般世帯でZEH水準住宅より約32.0万円、省エネ基準適合住宅より約143.1万円。子育て世帯等では約99.8万円と約131.7万円でした。【フラット35】を使う場合は、総返済額の差がさらに加わります。
仕様の追加費用は、一般に、会社の標準仕様が認定基準を満たしていれば小さく、満たしていなければ耐震・断熱・床下の高さなどの変更で大きくなります。会社と仕様で大きく違うので、同じ間取りで「認定あり」と「認定なし」の見積もりを出してもらうと比べやすくなります。あわせて次の3点を聞いてください。
- 標準仕様で認定を取れるか。取れない場合、何を変えるといくら増えるか
- 申請費用(行政の手数料・評価機関の審査料・書類作成費)が見積もりに入っているか
- みらいエコ住宅2026事業の登録事業者か。GX志向型住宅(全世帯125万円・110万円)と組み合わせる案も出せるか(GX志向型住宅の要件)
複数社の資金計画を同じ条件でそろえるなら、一括資料請求の希望条件に「長期優良住宅の認定を取りたい」と書く方法もあります。依頼後に各社から連絡が来るので、依頼先は絞って選んでください(一括資料請求の使い方)。
よくある質問
長期優良住宅の認定は、いつまでに申請すればいいですか?
申請にかかる費用はいくらですか?
定期点検をしないと、どうなりますか?
長期優良住宅は売るときに有利ですか?
まとめ
- 長期優良住宅は着工前に認定を受けた住宅。省エネはZEH水準と同じで、耐震・劣化対策・維持管理と30年以上の維持保全計画が加わる
- 借入4,000万円・金利1%・35年のモデルでは、省エネ基準適合住宅より優遇が一般世帯で約143.1万円、子育て世帯等で約131.7万円多い
- ZEH水準住宅との差は一般世帯で約32.0万円、子育て世帯等で約99.8万円(みらいエコ75万円を含む)
- 【フラット35】を使う場合、当初5年間の金利が年0.75%下がり、総返済額は省エネ基準適合住宅より約178.2万円少ない(2026年10月の金利で試算)
- デメリットは着工前の申請と手数料(堺市で13,000円から)、10年以内ごとの点検と記録の保存、行政への報告の義務
- 同じ間取りで認定あり・なしの見積もりを取り、差額と申請費用・追加費用を比べて決める
- 国土交通省「長期優良住宅のページ」(認定基準・着工前の申請・認定後の維持保全。2026年10月10日確認)
- 国土交通省「認定長期優良住宅を取得したときに利用できる減税制度」(各税の特例・手続き・モデルケース)
- 国土交通省「長期優良住宅の認定を受けられたみなさまへ」(PDF)(認定後の手続き、取消しと優遇の返還)
- 国土交通省「認定長期優良住宅における記録の作成と保存について」(PDF)
- 平成21年国土交通省告示第209号(長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準)(PDF)
- e-Gov法令検索「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(第6条・第11条・第12条・第21条)
- e-Gov法令検索「長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則」(第4条 規模の基準)
- 国土交通省「長期優良住宅建築等計画の認定実績」(PDF)(令和8年3月末時点)
- 国土交通省「長期優良住宅に係る支援制度」(PDF)(金利引継特約付き【フラット35】)
- 堺市「長期優良住宅」(申請の流れ・手数料・標準処理期間・維持保全状況の調査。2026年10月10日確認)
- 国土交通省「みらいエコ住宅2026事業」注文住宅の新築(補助額・期限)
- 国税庁 タックスアンサー No.1211-1(住宅ローン控除の借入限度額)
- 総務省「固定資産税の概要」(標準税率1.4%)
- 住宅金融支援機構「【フラット35】S」・金利引下げメニュー(ポイント制)・金利情報(2026年10月の最頻金利)
- 住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」(融資額・住宅面積の平均)

