注文住宅の予算を考えるとき、最初に知りたいのは「自分の年収で住宅ローンはいくらまで借りられるか」です。ただ、借りられる額は年収だけでは決まりません。年収に占める返済の割合(返済負担率)と金利によって、同じ年収でも1,000万円以上変わります。

このページでは、世帯年収400万〜1,200万円の7段階について、返済負担率と金利を組み合わせた借入可能額を計算して早見表にしました。計算式と前提は本文にすべて書いています。あわせて、住宅金融支援機構の公式情報からフラット35の返済負担率の基準と2025年度フラット35利用者調査の平均を並べます。

先に結論

返済負担率25%・金利1.5%・35年(元利均等・ほかの借入なし)で計算すると、借りられる額は年収500万円で約3,402万円、600万円で約4,082万円、800万円で約5,443万円です。この条件では年収の約6.8倍にあたります。ただし金利が1.0%なら約4,428万円、2.0%なら約3,773万円(いずれも年収600万円)と、金利で大きく変わります。

【フラット35】の基準は、年収400万円以上で総返済負担率35%以下(400万円未満は30%以下)です。これは車などのローンも含めた上限です。2025年度のフラット35利用者調査では、土地付注文住宅の平均は世帯年収742.2万円・総返済負担率26.4%・年収倍率7.8倍でした。なお2026年10月のフラット35の金利(最も多いもの)は年3.83%で、この金利だと年収600万円・負担率25%でも約2,889万円になります。

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フラット35の返済負担率の基準

返済負担率(総返済負担率)は、年収に占める1年間の返済額の割合です。住宅金融支援機構の【フラット35】は、ご利用条件で次の基準を定めています(2026年4月1日現在)。

年収総返済負担率の基準
400万円未満30%以下
400万円以上35%以下

基準を読むときのポイントは3つです。

このほか、借入額は100万円以上1億2,000万円以下で、建設費(土地の借入れを希望する場合は土地取得費を含む)以内です。借入期間は15年以上で、「80歳−申込時の年齢(1年未満切り上げ)」と35年のうち短い方が上限です。たとえば申込時に44歳6か月なら45歳として扱い、80−45=35年です。45歳を過ぎると35年より短くなります。

📌 35%は審査の上限

35%は審査で認められる上限で、無理なく返せる割合という意味ではありません。民間の住宅ローンの基準は金融機関ごとに異なります。この記事の早見表は、上限より低い20%・25%・30%で計算しています。

年収別の借入可能額の早見表(35年・元利均等)

世帯年収ごとに、返済負担率20%・25%・30%と金利1.0%・1.5%・2.0%を組み合わせた9通りで、借入可能額を計算しました。金利は計算のための仮定です。実際の金利は商品と時期で変わります。

前提: 返済期間35年(420回)、元利均等返済、ボーナス払いなし、金利は35年間一定、住宅ローン以外の借入なし。借入可能額は万円未満を切り捨て、月々の返済額は小数第3位を四捨五入して表示しています(計算は端数を含めて行っています)。

返済負担率20%の場合

世帯年収月々の返済額金利1.0%金利1.5%金利2.0%
400万円6.67万円2,361万円2,177万円2,012万円
500万円8.33万円2,952万円2,721万円2,515万円
600万円10.00万円3,542万円3,266万円3,018万円
700万円11.67万円4,132万円3,810万円3,521万円
800万円13.33万円4,723万円4,354万円4,025万円
1,000万円16.67万円5,904万円5,443万円5,031万円
1,200万円20.00万円7,085万円6,532万円6,037万円

返済負担率25%の場合

世帯年収月々の返済額金利1.0%金利1.5%金利2.0%
400万円8.33万円2,952万円2,721万円2,515万円
500万円10.42万円3,690万円3,402万円3,144万円
600万円12.50万円4,428万円4,082万円3,773万円
700万円14.58万円5,166万円4,762万円4,402万円
800万円16.67万円5,904万円5,443万円5,031万円
1,000万円20.83万円7,380万円6,804万円6,289万円
1,200万円25.00万円8,856万円8,165万円7,546万円

返済負担率30%の場合

世帯年収月々の返済額金利1.0%金利1.5%金利2.0%
400万円10.00万円3,542万円3,266万円3,018万円
500万円12.50万円4,428万円4,082万円3,773万円
600万円15.00万円5,313万円4,899万円4,528万円
700万円17.50万円6,199万円5,715万円5,282万円
800万円20.00万円7,085万円6,532万円6,037万円
1,000万円25.00万円8,856万円8,165万円7,546万円
1,200万円30.00万円10,627万円9,798万円9,056万円

表の読み方は2つです。

夫婦の収入を合算して申し込む場合は、合算後の世帯年収の行を見てください。ほかのローンがある場合は、その返済額を引いてから計算し直す必要があります(次の節の計算例を参照)。

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借入可能額の計算式と計算例

早見表は、毎月の返済額から借入額を逆算する元利均等返済の式で計算しています。

🧮 計算式

借入可能額 = 毎月の返済額 × {1 −(1 + 月利)−返済回数} ÷ 月利
毎月の返済額 = 世帯年収 × 返済負担率 ÷ 12
月利 = 年利 ÷ 12、返済回数 = 35年 × 12 = 420回

年収600万円・返済負担率25%・金利1.5%の場合は次のとおりです。

  1. 毎月の返済額を出す

    600万円 × 25% = 年150万円。12で割ると月12.5万円です。

  2. 月利と返済回数を決める

    月利 = 1.5% ÷ 12 = 0.125%(0.00125)。返済回数は420回です。

  3. 係数を計算する

    1.00125の−420乗 = 約0.5917。(1 − 0.5917)÷ 0.00125 = 約326.6。これは「毎月1万円の返済で約326.6万円借りられる」という意味です。

  4. 返済額に係数を掛ける

    12.5万円 × 326.6 = 約4,082万円。年収の約6.8倍です。

金利ごとの係数と、1,000万円を借りたときの返済額は次のとおりです(35年・元利均等)。

金利毎月1万円の返済で借りられる額1,000万円あたりの毎月返済額1,000万円あたりの35年間の返済総額
1.0%約354.3万円28,229円約1,186万円
1.5%約326.6万円30,618円約1,286万円
2.0%約301.9万円33,126円約1,391万円
3.83%(フラット35・2026年10月)約231.1万円43,264円約1,817万円

自分の数字で概算するときは、「毎月払える額(万円)× 上の係数」で計算できます。

2026年10月のフラット35の金利(年3.83%)で計算した場合

早見表の金利1.0〜2.0%は仮定です。全期間固定金利の【フラット35】は、2026年10月の借入金利(借入期間21〜35年・融資率9割以下・新機構団信付き)が年3.830%〜5.840%で、取扱金融機関が提供する金利で最も多いものは年3.830%でした。融資率が9割を超える場合、最も多い金利は年3.940%です。

年3.83%・35年・元利均等で、同じ式で計算すると次のとおりです。右端の列は、フラット35の基準の上限(年収400万円以上は35%)まで返済に回した場合です(万円未満切り捨て)。

世帯年収負担率20%負担率25%負担率30%負担率35%(上限)
400万円1,540万円1,926万円2,311万円2,696万円
500万円1,926万円2,407万円2,889万円3,370万円
600万円2,311万円2,889万円3,467万円4,044万円
700万円2,696万円3,370万円4,044万円4,719万円
800万円3,081万円3,852万円4,622万円5,393万円
1,000万円3,852万円4,815万円5,778万円6,741万円
1,200万円4,622万円5,778万円6,934万円8,089万円

年収600万円・負担率25%で比べると、金利1.5%の約4,082万円に対し、年3.83%では約2,889万円です。差は約1,193万円で、およそ3割少なくなります。全期間固定で借りるか、ほかの金利タイプで借りるかで、建てられる家の規模が変わります。

フラット35には、省エネ性能などの基準を満たすと当初5年間の金利が下がる【フラット35】Sがあります(ZEHは年▲0.75%など)。公式サイトの例では、夫婦・子1人でZEHの場合、ポイント制で当初5年間が年2.83%、6年目以降が年3.83%です(2026年10月の最も多い金利の場合)。引下げの仕組みはフラット35Sの金利引下げにまとめています。変動金利や民間の固定金利の水準は金融機関ごとに異なるため、この記事では扱っていません。

フラット35利用者調査の平均年収・年収倍率・返済負担率

フラット35で注文住宅を取得した人は、年収のどのくらいの割合を返済に回しているのでしょうか。住宅金融支援機構の「2025年度 フラット35利用者調査」(2025年4月〜2026年3月に機構が買取り・付保の承認をした案件)から、注文住宅の2つの区分を並べます。「注文住宅」は建物の建設費だけをフラット35で借りた人(土地代をフラット35で借りていない人。土地をすでに持っている人のほか、土地代を現金やほかのローンでまかなった人も含む)、「土地付注文住宅」は土地と建物の両方をフラット35で借りた人です。

項目注文住宅(建物のみ借入)土地付注文住宅
集計件数3,889件7,733件
年齢(平均)47.8歳40.1歳
世帯年収(平均)718.9万円742.2万円
世帯年収(中央値)603.3万円651.8万円
年収倍率(平均 / 中央値)6.9倍 / 6.5倍(建設費÷世帯年収)7.8倍 / 7.6倍(所要資金÷世帯年収)
総返済負担率(平均 / 中央値)23.0% / 23.5%26.4% / 27.1%
1か月あたり予定返済額(平均)12.39万円15.23万円
機構からの借入(平均)3,247.9万円4,379.0万円
手持金(平均)839.8万円481.1万円
建設費 / 土地取得費(平均)4,259.8万円 / ―3,737.6万円 / 1,575.3万円
返済期間(中央値)35年35年

世帯年収は、本人と収入合算者の年収の合計(賞与を含む、借入申込時)です。年収倍率と総返済負担率は、一人ずつ計算した比率の平均です。そのため、平均の返済額を平均の年収で割った値とは一致しません。

総返済負担率の分布

総返済負担率注文住宅土地付注文住宅
15%未満15.6%5.4%
15%以上20%未満19.2%12.1%
20%以上25%未満22.5%20.8%
25%以上30%未満25.9%28.3%
30%以上16.7%33.3%

集計表の件数から構成比を計算しました(四捨五入のため合計は100%になりません)。

世帯年収の分布

世帯年収注文住宅土地付注文住宅
400万円未満13.9%5.0%
400万〜600万円未満35.1%36.2%
600万〜800万円未満23.7%28.3%
800万〜1,000万円未満12.6%15.5%
1,000万〜1,200万円未満6.0%6.8%
1,200万円以上8.7%8.2%

土地付注文住宅では、3人に1人(33.3%)が総返済負担率30%以上でした。土地代も借入れでまかなう分、返済の割合が高くなると考えられます。一方、建物だけをフラット35で借りた注文住宅は手持金の平均が839.8万円と多く、負担率の平均は23.0%です。土地付注文住宅の平均(年収742.2万円・負担率26.4%)は、早見表では「年収700万〜800万円・負担率25〜30%」の欄にあたります。都道府県ごとの平均は都道府県別の相場で確認できます。

借入可能額から注文住宅の予算を決める手順

早見表の金額は「借りられる額」の目安です。予算は、次の順で「返せる額」から組み立てます。

  1. 毎月いくらなら返せるかを決める

    今の家賃、毎月の貯蓄額、教育費の予定から、毎月の返済額の上限を決めます。車などほかのローンがあれば、その返済額を先に引きます。

  2. 借入額を計算する

    毎月の返済額に、金利に合った係数(1.5%なら約326.6、フラット35の年3.83%なら約231.1)を掛けます。金利は、実際に借りる予定の商品の金利で計算し直してください。

  3. 自己資金を足す

    借入額に、頭金として出せる自己資金を足したものが使える総額です。手元に残すお金との分け方は注文住宅の頭金はいくら必要かで整理しています。

  4. 諸費用を差し引く

    登記、ローンの手数料、火災保険などの諸費用は、建物や土地の代金とは別にかかります。金額は依頼先と金融機関で変わるので、資金計画の見積もりで確認します。

  5. 土地と建物に分ける

    残りを土地代と建物代に分けます。県ごとの建設費と土地代の平均は都道府県別の相場で、総額と月々の返済は総額シミュレーターで確認できます。

  6. 住宅ローン控除の限度額を確認する

    住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%を新築なら最大13年間、税金から差し引く制度です。借入限度額は住宅の性能で変わり、2026年入居の一般世帯では長期優良住宅4,500万円、ZEH水準省エネ住宅3,500万円、省エネ基準適合住宅2,000万円です。詳しくは住宅ローン控除【2026年入居】を参照してください。

借りられる額と返せる額を分けて考える

早見表は条件をそろえた計算です。実際に借りるときは、次の点で結果が変わります。

早見表の使い方

フラット35の上限(35%)と、調査の中央値(土地付注文住宅27.1%、注文住宅23.5%)には開きがあります。上限から逆算するのではなく、毎月払える額から逆算し、早見表は「その返済額でいくらになるか」を確かめるのに使うと、予算がぶれにくくなります。

よくある質問

年収500万円だと住宅ローンはいくらまで借りられますか?
35年・元利均等・ほかの借入なしで計算すると、返済負担率25%なら金利1.0%で約3,690万円、1.5%で約3,402万円、2.0%で約3,144万円です。2026年10月のフラット35の金利(最も多いもので年3.83%)では約2,407万円、フラット35の基準の上限35%まで返済に回すと約3,370万円です。
返済負担率は手取りで計算するのですか?
フラット35では、原則として申込年の前年の収入を使い、給与収入だけの人は給与収入金額(税金や社会保険料を引く前の額面)で計算します。手取りに対する割合で見ると、同じ返済額でも比率は高くなります。
共働きの収入は合算できますか?
フラット35は条件を満たせば収入を合算でき、申し込めるのは連帯債務者を含めて2名までです。フラット35利用者調査の世帯年収も、本人と収入合算者の年収の合計です。合算の条件は取扱金融機関で確認してください。
車のローンがあると借入額は減りますか?
減ります。フラット35の総返済負担率は自動車ローンやカードローンなどの返済も含めて計算します。年収600万円・負担率25%・金利1.5%・35年の場合、月3万円の自動車ローンがあると、借入可能額は約4,082万円から約3,102万円に下がります。
35年より短い期間で借りるとどうなりますか?
毎月の返済額が同じなら、借りられる額は減ります。年収600万円・負担率25%・金利1.5%の場合、35年で約4,082万円、30年で約3,621万円、25年で約3,125万円です。フラット35の借入期間は「80歳−申込時の年齢」と35年の短い方が上限です。

まとめ

参考情報・データの出典